法改正によって懸念される問題

日本に存在する数多くの法律の中で、介護に関わる重要な法律の一つが介護保険法です。2000年に施行されたこの法律は、3~5年を目安に見直しによる改正が行われていて、2018年度にも新たな改正が行われました。

しかし、この見直しによって今後新たな問題が起こることも懸念されています。2018年には5つの項目が改正されましたが、その中でも特に大きなポイントとなったのが自己負担額の増加です。これまでは、介護に関わる費用の自己負担額は年収が280万円以下の人は1割負担、280万円以上の人は2割負担となっていました。しかし、2018年度の改正によって新たに年収が340万円以上の場合は3割負担という条件が追加されたのです。そのため、今回新たに追加された条件によって起こりえる問題として、介護離職の増加が挙げられます。

ここで言う介護離職とは、介護業界で働いている人達のことを指すのではなく、仕事と家族の介護を両立している人の離職です。こうした離職者が増えてしまう背景には、先ほど述べた費用の負担増があります。そして、介護保険料の支払いが困難になり、結果的に介護サービスを利用できなくなるという悪循環が課題になっているのです。

厚生労働省の調べでは、改正が行われた時点で3割負担の対象となるのはおよそ12万人で、全体の3%程度と言われているため、影響自体はそれほど大きくはないでしょう。しかし、自己負担額については今後も上がっていくことが予想されてるので、現時点で影響を受けていない人も注意が必要です。